「察して」は通じない?メキシコでラクになる説明術
- Taro Maruwa

- 5 時間前
- 読了時間: 4分

メキシコで生活していると、「いや、言ったよね?」が増えます。
たとえば管理会社に「早めにお願いします」と送ったのに、返ってくるのは“了解”だけ。数日後にこちらから聞くと、相手は悪気なく「いつまで?どの優先度?」という顔をする。
これ、能力や性格の問題というより コミュニケーションの“前提”が違うことが原因です。
日本は同じ空気・同じ常識を共有している前提で会話が進みやすい。一方、海外生活(特に異文化環境)では、その前提が薄い。だからこそ、こちらが 説明を「丁寧に」ではなく「構造的に」出すと、驚くほどラクになります。
日本は「察し」、海外は「前提がズレる」
文化論でよく出てくるのが「ハイコンテクスト/ローコンテクスト」という考え方です。
ざっくり言うと、"言葉にしなくても通じる (暗黙が多い)"のがハイコンテクスト、"言葉で明確にする (明示が多い)"のがローコンテクスト、という整理。これは文化人類学者エドワード・ホールの枠組みとして紹介されます。
ここで一つ大事な注意点。
メキシコは「何でも直接言う文化」というより、丁寧で遠回しな表現を選びやすい側面もあります(特に断り方)。
それでも駐在員がつまずくのは、あなたと相手の間に「共有している前提」が少ないから。つまり問題は「直接/間接」だけじゃなく、“前提共有の量”なんです。
文法が後押しする“説明の順番”
日本語と英語・スペイン語などの文法を少し見てみると興味深いことに気づきます。
日本語は基本的に SOV(主語‐目的語‐動詞)で、動詞(=何をするか)が後ろに来やすい。
英語やスペイン語は基本 SVO(主語‐動詞‐目的語)で、動詞が早めに出てきます。
動詞が先に来ると、聞き手は「誰が何をするのか」を早い段階で掴める。
逆に日本語は、丁寧に背景を積んで最後に動詞が来るので、海外の人(特に急いでいる時)は「で、結局どうしたいの?」となりやすい。
だからメキシコで会話を通すコツは、日本語で話すときも “動詞を先に出す”こと。
「〜なんですけど…」の前に、まず “お願い”や“目的”を一言で置く。これだけで会話の摩擦が減ります。
メキシコで効く「説明の5点セット」
丁寧語を増やすより、要素を揃える方が効きます。おすすめはこの5点。
(1)何をしたい(動詞)
(2)いつ(期限)
(3)どこで(場所)
(4)条件(予算・人数・優先度)
(5)確認(復唱してもらう)
エッセイっぽく言うと、海外生活は「伝える」より「伝わる設計」。
説明の部品が揃うと、相手は動ける。揃っていないと、相手は“悪気なく止まる”。
止まった分だけ、こっちの心が削れていきます。
シーン別に、どう言い換える?
① WhatsApp:短文=冷たい、ではない
WhatsAppは「短文で用件を回す」運用になりがちです。
そこで日本人がやりがちなのが、1通に背景を詰め込むこと。相手からすると要点が見えづらい。
おすすめは、1通目をこうする:
「お願い(動詞)+期限」だけで送る。
次に、条件を追送する。最後に「OKなら👍で」と確認を置く。
“文章力”ではなく“交通整理”です。
② 職場:Yesが「今すぐやる」とは限らない
メキシコでは対立を避けるため、断り方が柔らかくなることがあります。
だからこそ、依頼は「頼んだつもり」で終えずに、確認の一手を入れるのが安全です。
例)×「できたら早めにお願いします」
○「今日中に(期限)Aを(動詞)できますか?難しければ、いつなら可能ですか?」
この「難しければ」の一言で、相手は言いやすくなり、結果的にスピードが上がります。
③ 家探し:抽象語ほど事故る
「安全なエリア」「静かな家」「便利な場所」…これ、全員言います。でも全員定義が違う。家探しで揉めるのは、条件がズレたまま走り出すからです。
抽象語は、数字や行動に落とす。
「静か」→「幹線道路から○m以上」「夜に外で会話できるレベル」
「便利」→「徒歩○分以内にスーパー」「学校まで車で○分以内」
こうして初めて、相手も同じゴールに向かえます。
(ここはMARUWAの不動産仲介が強いところ。条件を“翻訳”して、内覧と契約まで事故率を下げられます。)
④ 送迎:ドライバーには「場所」より「行動」を渡す
送迎が噛み合わないのは、地図の問題より“指示の粒度”の問題が多いです。
×「家に来てください」
○「○時に(いつ)、○○通り側のゲート前(どこ)で、白い服の人が立っている(目印)。到着したらWhatsAppしてください(確認)」
運転手手配を使うほど、こういう「5点セット」が効いてきます。言い切ってしまうと、伝え方が整うと移動ストレスが半分になること、普通にあります。
まとめ(要点3つ)
伝わらない原因は“性格”より“前提のズレ”。ホールの枠組みでも、暗黙と明示の度合いは文化で変わります。
日本語(SOV)は動詞が後ろに来やすいので、海外では「動詞(お願い)を先に」置くと会話が通りやすい。
メキシコは丁寧で間接的な表現も多い。だからこそ、期限と確認をセットにして誤解を減らす。
「伝え方・交渉」サポート
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