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日本とメキシコ、クリスマスがこんなに違う理由



同じ「クリスマス」なのに、空気が違う


クリスマスが過ぎたあとの街を歩いていると、不思議な感覚に包まれることがあります。つい数日前まで、あれほど特別な空気に満ちていたはずなのに、何事もなかったかのように日常へ戻っている。メキシコで迎えたクリスマスの翌日は、そんな静けさがとても印象的でした。


日本で暮らしていた頃のクリスマスを思い返すと、街の記憶が鮮やかによみがえります。イルミネーション、予約で埋まるレストラン、プレゼントを抱えた人たち。同じ12月24日でも、そこに流れていた空気は、今とはまったく違うものでした。


同じ「クリスマス」という言葉を使っているのに、日本とメキシコでは、祝われ方も、街の表情も、まるで別の行事のように感じられる。その違いは、表面的な過ごし方以上に、もっと深いところに理由がありそうです。




日本のクリスマスは「商業イベントとして育った」


日本のクリスマスは、宗教行事として社会に根づいたものではありません。戦後、海外文化の流入とともに、季節のイベントとして広がっていった側面が大きいと言われています。


その象徴として、よく話題に上がるのがクリスマスとケンタッキーフライドチキンの関係です。「年間売上の3分の1がクリスマスに出る」という話は、事実なのか都市伝説なのかは定かではないのですが、少なくとも、企業にとって最大級の稼ぎ時であることは事実でしょう。


ここで大切なのは、これを揶揄することではありません。むしろ、日本のクリスマスは、意味を後から自分たちで作り上げてきた文化だという点に、日本らしさがあります。


宗教的な縛りがないからこそ、楽しみ方も、参加の仕方も、驚くほど自由。その柔軟さが、日本のクリスマスを形づくってきました。




なぜ日本では「恋人の日」になったのか


日本でクリスマスイブと聞いて、多くの人が思い浮かべるのは、恋人と過ごす夜ではないでしょうか。家族よりも、恋人。自宅よりも、外のレストランや街の中。


それは、宗教的な意味合いが薄いからこそ、「特別な夜」をどこに置くかを、個人が選んできた結果なのだと思います。


年末の忙しさの中で、家族全員が集まる時間を取るよりも、二人だけの非日常を演出する方が、現実的だったという側面もあるでしょう。


日本のクリスマスは、日常から少し離れた“外向きのイベント”として育ってきた文化なのです。




メキシコのクリスマスは「信仰と家族の時間」


一方、メキシコのクリスマスは、その位置づけがはっきりしています。カトリック文化の中で、キリストの誕生を祝う日として、長い時間をかけて守られてきました。


12月24日の夜から25日にかけてが本番で、家族が集まり、食事をし、祈りを捧げ、同じ時間を共有する。派手な演出よりも、「一緒にいること」そのものが大切にされます。


そこでは、「どう過ごすか」よりも「誰と過ごすか」が先にあります。




なぜ恋人より家族なのか


メキシコでは、恋人よりも家族が優先される。それはクリスマスに限った話ではなく、社会全体に流れる価値観でもあります。


家族単位が社会の基本であり、行事は大人のためというより、子どもたちのためにある。クリスマスもまた、その延長線上にあります。


だからこそ、24日の夜、街は静かになります。人々は外へ出かけるのではなく、家へ帰る。「今日は家にいる日」だという暗黙の了解が、街全体に流れているのです。




どちらが正しい、ではない


ここで、日本とメキシコのどちらが「正しい」かを比べる意味はありません。日本のクリスマスには、日本の良さがあります。


宗教に縛られず、その年その年で、過ごし方を更新できる軽やかさ。商業的であることも含めて、街全体が一つの舞台装置になるような楽しさ。


一方で、メキシコのクリスマスには、変わらないからこそ守られてきた深さがあります。信仰、家族、そして「帰る場所がある」という安心感。


どちらも、それぞれの社会が選び取ってきた自然な形です。




駐在員として感じる戸惑いと安心


駐在員としてこの違いに触れると、最初は戸惑うかもしれません。「せっかく海外にいるのに、特別なことをしなかった」そんな気持ちになる夜もあるでしょう。


でも、数年経つと、感じ方が変わってきます。外が静かな夜に、無理に予定を入れなくていいという安心。誰かと比べなくていい時間。


メキシコのクリスマスは、「何かをする日」ではなく、「ここにいる日」なのだと、少しずつ分かってきます。




クリスマスは、その国の価値観が一番見える日


クリスマスは、その国が何を大切にしてきたかを、最も分かりやすく映し出す日です。恋人を選ぶのか、家族を選ぶのか。外に向かうのか、内に向かうのか。


日本とメキシコの違いは、優劣ではなく、方向の違い。どちらにも、それぞれの温度があります。


駐在生活の面白さは、こうした違いに「慣れること」ではなく、「気づけること」にあるのかもしれません。クリスマスという一夜が教えてくれるのは、異文化の正解ではなく、選択肢の多さなのです。



文化を知ると、暮らしは少し楽になる


メキシコのクリスマスのように、背景を知るだけで、見え方が変わる文化はたくさんあります。


Maruwaでは、住まい・移動・生活立ち上げといった実務面だけでなく、「知っていると安心できる」駐在生活の土台づくりを大切にしています。


分からないことがあれば、大きな相談でなくても構いません。気になることを、気軽に聞いてみてください!

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