“サインする前”が勝負:メキシコの住居契約で確認すべきこと
- Taro Maruwa

- 2 時間前
- 読了時間: 5分

家は「住む前」に9割決まる
メキシコで家探しをすると、内覧のテンポが早くて「良さそうならすぐ決めないと」と焦りがちです。でも、駐在の住まいで後から困るケースの多くは、物件そのものというより “契約の確認不足” から始まります。
日本の賃貸は手続きが定型化されていて、重要ポイントがパッケージ化されていますよね。一方メキシコは、オーナー・物件・地域・管理体制によって条件が変わりやすい。だからこそ、サイン前の確認が「安心の分かれ道」になります。
メキシコ賃貸のざっくり流れ
一般的には、次の順番で進みます。
内覧(同日に即決も多い)
条件交渉(家賃・デポジット・家具・修繕など)
書類提出(身分証、勤務関連、場合により追加書類)
契約書の確認(多くはスペイン語)
署名・支払い(初月家賃+デポジット等)
引き渡し・入居(鍵、備品、メーター確認)
ポイントは、③〜⑤が “勝負ゾーン” だということ。ここで「何が含まれているか/含まれていないか」を曖昧にしたまま進めると、入居後にじわじわ効いてきます。
内覧をしてカナリ気に入って契約をほぼほぼ決めた場合にはApartado (仮予約の保証金)を支払うことで他の人に取られてしまわないようにすることができます。契約時にはApartadoがそのままデポジットとなります。
日本と違う!サイン前に確認すべき7つの核心ポイント
1)保証人(Fiador)問題と代替手段
メキシコの賃貸契約でよく出てくるのが Fiador(保証人)。オーナーによっては「国内不動産を持つ保証人」を求めることもあり、赴任直後の駐在員にはハードルが高いケースがあります。
その場合に代替として提示されることがあるのが、保証サービス(例:Póliza Jurídica など)。ただし、条件・費用・対象範囲はケースバイケースなので、
何のための費用か
どこまでカバーされるか
誰が支払うのか(借主/貸主)は必ず明確にしましょう。
2)デポジット(保証金)の「返金条件」
デポジットは「払えば戻る」と思いがちですが、戻り方は契約と運用次第です。確認すべきはこの3点。
退去時の原状回復の定義(どこまでが“通常損耗”か)
清掃費や修繕費を差し引くルール
返金タイミング(何日後に、どの方法で返金か)
写真・動画で入居時の状態を残すのは、ここに効きます。
3)修繕・メンテは誰の負担?
日本よりも「どこまでがオーナー負担か」の線引きが曖昧になりやすいです。特に確認したいのは、
給湯器、ポンプ、ガス設備など“生活インフラ系”
エアコン、換気扇、コンロ等の家電
小さな修理(パッキン、詰まり、電球)を誰が手配するか
「壊れたら直す」は当然として、“誰が手配し、誰が払うか” が契約でズレやすいポイントです。
4)家具付き物件は「在庫リスト」と状態が命
家具付き(amueblado)は便利ですが、揉めるとしたらここです。サイン前に、
家具・家電のリスト(Inventario)
それぞれの状態(傷・汚れ・動作)
退去時の取り扱い(交換・修理の扱い)
を、できれば写真付きで残します。「冷蔵庫がある」より、「どの冷蔵庫で、動作は正常か」が重要です。
5)管理費・共益費(HOA)と含まれるもの
ゲート付きの住宅地やマンションでは、HOA(管理費) が発生します。確認すべきは、
HOAは家賃に含まれるか(別か)
警備、共用部、ゴミ回収、プール等が含まれるか
未払い時の扱い(誰の責任になるか)
家賃だけ見ていると、後から固定費が増えて見えます。
6)光熱費・ネットの名義、支払い方法
水道・電気・ガス・ネットが、
借主名義になるのか
オーナー名義のまま借主が支払うのか
請求書の受け取り方(紙/アプリ/管理室)
ここも運用がまちまちです。特に入居初月は請求タイミングがズレやすいので、「いつ・どう払うか」を入居時に確認すると安心です。
7)途中解約と更新条件
駐在は異動や帰任が読みにくいこともあります。だからこそ、
契約期間(何ヶ月/1年等)
途中解約のペナルティ
更新時の条件(家賃改定のルール、通知期限)
は最初に確認しておくのが鉄則です。「帰任が早まった」時に詰まるのはここ。
サイン前チェックリスト
最後に、サイン直前の“抜け防止”リストです。
契約書の言語(スペイン語)を理解できる状態か(重要条項は要確認)
Fiador/保証サービスの条件・費用・支払者が明確か
デポジット返金条件(差し引き項目・期限)が書面で明確か
修繕の負担範囲(誰が手配し、誰が払うか)が明確か
家具家電の在庫リスト(Inventario)+入居時写真があるか
HOA(管理費)・共益費が家賃に含まれるか
光熱費・ネットの名義と支払い方法が決まっているか
途中解約・更新条件・通知期限が明記されているか
入居時に鍵・リモコン・カード類の受け渡しが揃っているか
引き渡し時のメーター確認(可能なら写真)を行ったか
契約は「疑う」より「すり合わせる」
メキシコの賃貸契約で大事なのは、疑うことではなく すり合わせること です。日本と同じ前提で進めず、条件を言語化し、合意してからサインする。これだけで、駐在生活の安心度は大きく変わります。
物件探し〜契約確認まで、まとめて整える
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